History †
Quantum Chamberは、極小の物理現象をモチーフにして、2013年に当館館長の中島雅弘によって考案された戦略対戦ゲームです。
Story †
極小物理現象の世界へようこそ。
物理現象には、電荷の+と-や、磁力極性のSとNの対象性をもったものが存在する一方、重力は非対称である。他にも、陽子は安定的に存在することができるが、陰陽子はすぐに消えてなくなってしまう。なぜ、非対称性が存在するのか。人類は、さまざまな物理理論を打ち立て、実験によって正しい理論、間違った理論を検証補正をしてきた。そして、今も試行錯誤は続いている。
しかし、極小世界を覗き込めるなら、非対称性を決定するため、どちらのスピンを持った素粒子が多くこの世界に存在すべきか、常に自然の淘汰がなされていることを確認できる。あなたは、私たちの世界は、Skipper素粒子とそのエネルギー状態のことなる素粒子と、Absorber素粒子の働きで決定されているという、意外なほど単純な構造でできあがっていることに驚くはずだ。
興味のある人のために、少々専門的になるが、最新の物理学で分かっているSkipper素粒子とAbsorber素粒子の性質を追記しておこう。
Skipper素粒子は、基底状態で、不連続なエネルギー準位をとるため、とびとびの位置に出現する。通過した、同じスピン状態の素粒子の「基底状態を励起状態に」、「励起状態を基底状態」に変える。Skipperが高いエネルギーに励起された状態は、Liner素粒子と呼ばれる。
ボーズ粒子であるSkipperとLiner素粒子は、スピンが同じなど条件が整えば、安定的に同一ポジションに存在することができる。 同じ位置にあったLiner素粒子は、非常に高いエネルギーを与えることで、飛び出して衝突したものすべてを消滅させてしまう。
理論上、Linerが2つ同じ位置に存在する事もあるが、その状態で存在できるのは、ほんの一瞬だけで、片方のLinerは、とても高いエネルギーを持って飛び出していく。観測するのは、ほとんど不可能 らしい。
一方、複数のSkipper素粒子が結合した核子の状態とも推測されている(この後の実験検証が待たれている)、質量の大きな安定したAbsorber素粒子は、 通常エネルギー状態のLinerの動きを封じ込め、Skipperや高いエネルギーを持って移動するLinerの運動を制限する。
Description †
Board & Pieces †
Quantum Chamberは、2人で遊びます。
ボードは、Amoebaと同じ、6角型のボードを使います。
各プレーヤー9個ずつ、自色(赤-青)の駒と、5つの黒い駒を用います。円筒型の駒に、sの模様と、lの模様が裏表に描かれています。
図のように、円筒の駒をsを表向きに、両者の中央に黒い駒を5個、盤上の交点に並べた形が初期配置です。
駒の名称 †
 | Skipper 円筒駒のsが表になっている状態。 |
 | Liner 円筒駒のlが表になっている状態。 |
 | Absorber 黒い駒。 |
 | Charger Skipperの上に、同色のLinerが1つ積まれた状態。 |
 | Accelerator Linerの上に、同色のLinerが1つ積まれた状態。この状態は、手番で駒の移動中にしか出現しない。(詳細後述) |
Game Play †
各プレーヤーの手番で、以下に記述された駒を1つ選び、自分の手番で駒を動かします。
パスはできません。
Skipper †
- Skipperは、Checkersのように、隣の駒を1つ飛び越えて移動します。飛び越えた先に、別の駒がある場合は飛び越えられません。また、隣に飛び越えられる駒が無いときは、移動できません。
- Skipperは移動した後、続けて飛び越えられる駒があれば、連続して飛び越えることができます。その際、飛び越える方向を変えてもかまいません。ただし、直前に飛び越えた駒をただちに飛び越えて戻ることはできません。
- 連続Jumpによる移動中、出発点に進入することはできません。
- 連続Jumpは強制ではありません。上記、ルールにしたがっていれば、連続Jumpまだ続けられる場合にも、を任意の位置で止めることができます。
- Skipperは、Absorberを飛び越えると、連続Jumpは、あと1回しかできません。最後の1回で、もう1つAbsorberを飛び越えることもできます。
- Skipperは、相手の駒を飛び越えると、相手の駒を取り、飛び越えた駒を盤上から取り除きます。飛び越えた駒が、敵のChargerだった場合、一度に2つの駒を取り除きます。
- Skipperは、自分の駒を飛び越えると、飛び越えられた駒を裏返します。
飛び越えた駒が、自分のChargerだった場合には、飛び越えられたChargerの駒は裏返しません。
Liner †
- Linerは、直線上を任意の方向に、別の駒、盤面の縁に当たるまで移動させます。途中で停止することはできません。また、途中で方向を変えることもできません。
- Linerは、盤面の縁まで移動すると、その地点で停止します。
- Linerが、Absorberにぶつかると、その手前の交点で停止します。
- Linerが相手の駒(Skipper, Liner, Charger)にぶつかると、その相手の駒を取り除き、その位置で停止します。
- Linerが自分のSkipperにぶつかると、Skipperの上に乗って停止し、Chargerになります。
- Linerが自分のLinerにぶつかると、Acceleratorになり、同じ手番内で、後述するAccelerator Cannonの発射をおこないます。
- Linerが自分のChargerにぶつかると、その手前の交点で停止します。
Absorber †
いずれのプレーヤーも、Absorberを、線に沿って1つ隣の交点まで、移動させることができます。移動先に、すでに駒がある場合は、移動できません。
直前の手番で、相手プレーヤーが動かしたAbsorberは、動かすことができません。
Charger †
Chargerは動くことができません。
プレーヤーは自分の手番で、以下に説明するように、自分のCharger Cannonを発射することができます。
Accelerator CannonとCharger Cannonの発射 †
AcceleratorとChargerは、上に乗っているLinerを、任意の直線方向にCannonとして発射できます。
その際、下にあった駒(Skipper, Liner)は、その場所に残ります。
Linerは、発射位置から1交点ずつ、同一方向に移動します。
- 移動した交点に何もなければ、次の交点に移動します。
- 移動した交点に自分、相手の駒(Skipper, Liner, Charger)がある場合は、それらの駒を取り除きます。そして、次の交点に移動します。
- 移動した交点に、Absorberがあった場合は、Absorberを取り除きCannonを発射したプレーヤーの手元に置いておきます。Linerは、さらに移動を続け、次の駒(Skipper, Liner, Charger, Absorber)にぶつかるまで移動し、ぶつかった駒を取り除きLinerは停止します。(Absorberを取ったら、次に出会った駒を1つ取って停止します。)
- 盤の縁に到達すると停止します
発射されたLinerは、停止した位置で消滅し、盤上から取り除きます。
ゲームの終了 †
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G: これ以上駒の状態を変えたり、取ったりできない状態 |
以下の状態になると、終局です。
- ボード上に、Absorber以外の駒が4個以下になった時
- 手番のプレーヤーが、Absorberを動かし続ける以外に、合法手が無くなった時。(Absorberを動かして、Skipperが動けるようになる場合は、この条件にあてはまりません。)
- どのように手を尽くしても、いずれのプレーヤーも駒を取ることができない場合。(滅多に出現することはありませんが、Skipperだけで、右の図のようになってしまったケース等)
- お互いが、終局と合意した場合
Goal †
終局時に、ボード上に駒が多く残っているプレーヤーが勝ちです。
Chargerは、2つと数えます。
残っている駒数が同数の場合は、Absorberを多く取ったプレーヤーが勝ちです。
Absorberの数も同数の場合は、引き分けとなります。
Strategies †
Absorberは、Skipperの働きを強め、Linerの働きを弱める性質があります。
序盤は、Skipperを働かせて、良いポジションにLinerを作るようにします。
中盤から、駒が衝突し、めまぐるしく盤面が変化します。
一手差のゲームになることも多く、Absorberを獲得するタイミングが重要になります。
序中盤で、Cannonによって、大量に相手の駒を消滅させたり、Skipperの連続Jumpで、複数の駒をまとめて取られてしまうと、挽回は難しくなります。チャンスがあるときには、大量捕獲を目指しましょう。
終盤は、Linerを有効に活用し、相手の駒の動きを制限するようにします。できれば、Linerが2つ連携できるポジションを確保し、いつでも強力なAccelerator Cannonを発動できるようにします。
Note †
Copyright © Masahiro Nakajima 2013, www.nakajim.net 2013, All rights reserved.
Special Thanks †
アーヴァイン・システムズの新福哲氏に、このゲームのテストプレー、バランス調整などに協力してもらいました。
SEE ALSO †
Feedback †