[Diamond Game]


ゲーム理論とは

ゲーム理論[game theory]は、現実社会にみられる競争や協力の様々な形態を抽象化して数理的なモデルで捉え、各自の行動原理を数学的に研究する理論である。ゲーム理論におけるゲーム[game]とは、複数のプレイヤ[player]が、自分の利益が最大となることを目的として、相手の行動を予測しながら自分の行動を決めていくものである。このような抽象的なモデルの上では、将棋やチェス、トランプ、ギャンブルなど遊戯的なゲームと本質的に変わらないことから、ゲーム理論という名が付けられた。ゲーム理論は、意思決定の方法論の一種であり、相互連関的意思決定理論[interactive decision theory]と呼ぶこともできる。

個々のゲームの具体的な必勝法を考えることは、純粋な意味でのゲーム理論の対象範囲ではない。ゲーム理論で扱う一般的なゲームを社会ゲーム[social game]、遊戯的なゲームを室内ゲーム[domestic game]と呼ぶことがある。他の数学理論でもそうであるが、具体的な方程式を解くことよりも、問題の抽象的な構造を分析したり、一般的な方程式の解がどのような条件で存在するか、方程式の解がどんな性質を持つかが、主な研究対象となる。したがって、ゲーム理論を勉強しても、室内ゲームに強くなれるというわけではない。むしろ、現実社会での個人や集団の一般的な行動指針を与えるものである。

協力性と情報性によるゲームの分類

多人数ゲーム

ゲームの分類としては、プレイヤの人数による方法がある。一人ゲーム[one-player game]は、数理パズルのように、一人で行うゲームである。通常の意味でのゲーム理論で扱う範囲ではない。二人ゲーム[two-player game]は、二人のプレイヤで行うゲームである。ゲームの最も簡単な形態である。チェス、将棋、オセロ、チェッカー、囲碁、連珠など、盤面ゲームの多くは、二人ゲームである。 三人以上のゲームは、総称として多人数ゲーム[multi-player game]という。ダイヤモンドゲームは三人ゲーム、麻雀は四人ゲームである。多くのトランプゲームは、多人数ゲームである。

零和ゲームと非零和ゲーム

二人ゲームにおいて、一方のプレイヤの利益が、常に他方のプレイヤの損失(マイナスの利益)になるとき、零和ゲーム[zero-sum game]という。すなわち、一方の損得と他方の損得が正反対になっているゲームである。多人数ゲームにおいては、プレイヤ全員の利得の総和が常に0になるものを零和ゲームという。零和ゲームでないものを非零和ゲーム[non-zero-sum game]という。胴元がいて、参加手数料を支払うようなギャンブルは、非零和ゲームである。プレイヤが協力すれば、全員の利得が増えるようなゲームも非零和ゲームである。

○ 零和ゲーム 全プレイヤの利得の総和が0 誰かが得した分だけ、誰かが損をする ○ 非零和ゲーム 全プレイヤの利得の総和が0でない 胴元に寺銭を取られたり、

一般に、非零和ゲームより、零和ゲームの方が扱いが容易である。逆に、非零和ゲームの方が表現力があり、応用範囲が広い。非零和ゲームに対し、プレイヤの利得の総和を0に打ち消すような利得を持った仮想プレイヤを設けて、零和ゲームとみなすことがある。麻雀では、各自の持ち点を30000点ではなく26000点とし、最後にトップ以外のプレイヤは30000点からの収支で計算する。その上で、トップの得点は、総和が0になるように加算するので、零和ゲームとなっている。

協力ゲームと非協力ゲーム

全プレイヤが自分の利得のみを考えて完全に利己的に行動するゲームを非協力ゲーム[in-cooperative game]という。二人零和ゲームは、非協力ゲームである。部分的に利他的な行動を行うプレイヤが存在するゲームを協力ゲーム[cooperative game]という。全てのプレイヤが協力して、集団としての利得を高めるゲームや、一部のプレイヤが組んで、共通の敵に対するゲームである。 トランプのブリッジなど、二対二で組んで行う四人ゲームは協力ゲームである。団体スポーツも協力ゲームである。企業提携、生産調整、団体交渉なども協力ゲームである。

○ 協力ゲーム 部分的に利他的な行動を行うプレイヤが存在する ○ 非協力ゲーム 全プレイヤが自分の利得のみを考えて完全に利己的に行動する

完全情報ゲームと不完全情報ゲーム

将棋や囲碁などのように、互いに相手の手の内が公開されているゲームを完全情報ゲーム[game with perfect information]という。逆に、相手に見えない手札を持つトランプゲームや麻雀は、不完全情報ゲームという。完全情報ゲームでは、運に左右されず、ほぼ実力通りの結果となる。不完全情報ゲームでは、手札などの好条件が揃えば、初心者がプロに勝てることもある。不完全情報ゲームにおいて、全プレイヤが同じ部分情報を共有するゲームを情報対称ゲームといい、そうでないゲームを情報非対称ゲームという。販売者は製品の欠陥についても熟知しており、購入者はそうでないとき、情報の非対称性を利用して、本来の価値よりも高く売りつけることができる。

○ 完全情報ゲーム 全ての情報が共有されている 互いに自分の手の内が公開されている ○ 不完全情報ゲーム プレイヤごとに異なる情報を持っている 相手に見えない手札を持つ


TOP   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS   [Privacy Policy]