[Nine Mens Morris]

* はじめに [#d8a70aa3]

* 観戦記1 [#m403bb93]
朝から大勢の人

3階の取材受付に

三回戦を終わって、
習甦(Shueso : シュウソと読むそうです。)

一回の解説室よりも、三回の大会会場の方がにぎやかなほどです。
自分が対戦しているわけではありませんし、対局しているコンピューター
も、外部の雑音が気になるわけでもありません。カブトムシに相撲を
とらせているようなものかもしれませんね。

* 観戦記2 [#j5b69f1c]

棋士の解説を聞いていると、人間の上級者は、
動揺する、動揺させる、後悔する、後悔させるなど、
心理面で影響に配慮した指し手を選択していることや、
対局におけるコンテキストを考慮していることがわかります。
コンピューターは、手番における局面を客観的にのみ判断するので、
人と対戦する場合違います。Chessの世界チャンピオンだったKasparovは、
Deep Blueに敗れた1997年の対局後に、「Deep Blueとの対戦は、
毎局まったく別の個性と戦いだった」((六局対戦しました))((Kasparovは、対局中の指し手をプログラムのみによる判断ではなく、人の意思が介入したのではないかと疑っています))と言っていました。

人間同士では、当然この人は振り飛車党だからこの作戦でいこうなど、
対戦相手によって戦形を選択して対戦します。番勝負であれば、
前回と同じ戦術で行こうとか、変えようとかいろいろと考えます。
それぞれのプログラムは、対戦相手の個性を(プログラム内で、
もしくは対戦前に事前に選択)考慮して戦形を決めているのでしょうか、
本大会の観戦中に興味がわいてきました。

* Ponanza作者、山本さんにインタビュー [#f4ab0534]
'''今回は二次予選8位でした、あと一つ順位が上なら決勝進出というところで、おしかったですね。'''

評価関数と、大局観の強化が課題です。

はじめて作ったプログラムは、8枚落ちで圧勝でした。

昨年に続く出場でした。昨年も予選敗退でしたが、
Bonanza作者の保木さんには、一年でこんだけじゃ駄目だって、言われちゃいました。

** チーム参加と個人参加の違い [#weae4f99]
'''参加表を見ると、個人参加と、チーム参加とありますが、山本さんから見た違いを教えてください。'''

一人なら、すべて自分で決めていけるので、迅速な対応ができることがよいことです。
チームでは、意見の統一をしなければならないので、まとまらずにプロジェクトが停滞
してしまうこともあります。

チームでやることの最大の長所は

次に、分業できることは大きな長所です。ざっと分類するだけでも、強い将棋プログラムのは異なるスペシャリティーが必要です。例えば、
- 将棋ができる人 > AIの指導
- プログラムの最適化できる人
- システムアーキテクチャーを強化できる人

これらのことを、(ボンクラーズの伊藤英紀さんを指して)一人でやりのけてしまうすごい人もいますが、通常はなかなか難しいです。伊藤さんの場合、ハードウェアまで作って参加しますから... ⌣

** 囲碁AIと将棋AIの違いなど [#od59a844]
'''Chess、将棋、囲碁などを比較して、AIプログラミングの違いを教えていただけますか。'''

Chess < 将棋 < 囲碁((主として探索空間の大きさによる)) の順にどんどん難しくなります。
将棋の終盤はChessに比べて、局面が収束しにくい((持ち駒再利用のルールがあるから))のですが、駒の働きがChessよりも弱いものが多く、収束していきます。

囲碁では、局面評価を諦めるという大胆な発想が注目されています。
モンテカルロシミュレーションによるリソース定式化が
多腕バンデッド((k-armedバンデットとも言う))問題と等価であることが証明されています。9路盤では、人間相手に十分な強さになっているそうです。

将棋は、Bonanzaの出現以降、機械学習による評価関数の強化が主流です。
((それまでは、評価関数をプログラムの一部として記述し調整していました。))
裏返すと現在は、だれでもよい評価関数を作ることができる環境にあります。

> %%%すこし脱線%%%&br;
機械学習は、RPG((Role-Playing-Game))などの制作においてNPC((Non-Playable-Characterの意味。ゲーム中のプログラムによって制御されているキャラクター))の制作にも応用されていませんか。
&br;&br;
'''日本型RPGなどでは、あまり例がないかもしれません。欧米型のゲームでは、プログラムの制御に重きを置く傾向があります。(例えば、Blizzardのゲーム、DiabloやStar Craftなどでは、有効な手法かもしれません。)'''
&br;&br;
'''一方、先ほどの分業については、コンシューマーゲーム業界は、とても進んでいます。RPG制作では、ワールドマップ, フィールド, バトル, メニューなど、担当者が異なりますし、それぞれのパートを複数で作業することもあります。また、これらのインテグレーションに責任を持つメインパート担当者もいますね。'''
&br;&br;
メニューやメッセージシステムは、独立して作るほど複雑なのでしょうか。
&br;&br;
'''ゲーム中のダイアログは、既存のフォントを表示することはあまりなく、フォントを個別に用意します。ユーザー体験を重視して、文字もアートの一部としています。また、多カ国語対応を考えると、ダイアログなどの大きさも言語毎に変わってきますので大変です。'''

もうひとつの主流は、クラスタ化によるハードウェア性能/資源の投入です。
Team GPS, Team Bonanzaなどは、複数のCPU, コアだけでなく、コンピューターを並列に接続しています。
手を検索するAIプログラム技術では、単純な並列計算による評価だけでは効率があがりません。手を探索しているときに、特定の手が有効になると、どこかのnode以下がすべて不要になるようなことが頻繁におこります((α-β法を考えるとよくわかります))。不要になったリソースを速やかに解放して、再利用する技術がそれほど単純で簡単ではありません。


** これから [#q2540893]

今後の抱負をお聞かせください。

次回は、優勝を目指します!! &bigsmile;

楽しみですね、今後の活躍を期待します。

* 表彰式 [#k059cc7d]

* コンピューター将棋の今とこれから [#d6b1b4ac]
決勝戦では、プロ棋士・女流棋士なども多数来られていました。
2010年4月に、''情報処理学会がトッププロ棋士に挑戦状''を手渡したこともあるのか、
にわかにコンピューターと人類の勝負への期待が高まってきました。

2002年、国際将棋フォーラムで開催された「コンピュータソフト王者決定戦」を観戦しましたが、その時とは比べ物にならないほど強くなっています。
おそらく将棋においては、あと数年でコンピューターが人類を凌駕する時がやってくるに違いありません。

これは、AI研究者からすれば、三十余年にわたって数々の英知を、
ソフトウェア+ハードウェアに注ぎ込んできた結果、
ようやくたどり着いたところ。
機械が進歩することで、人類が取り残されてしまうかのような印象は確かにありますが、
その機械を作っているのは人類、
つまり、棋士=人類 対 研究者=人類 の戦いです。

1996年、Deep Blue 対 Kasparov((史上最強と言われるChessの世界チャンピオン)) に、「機械 対 人類」と世界中に注目され、Kasparovは機械の挑戦をしりぞけました。しかし、翌1997年の再戦ではコンピューターが勝利しました。
その結果を、情報システムを生業としている者の多くは、複雑な思いで見ていました。
Deep Blueは、IBM専用のハードウェアを使い、Chessのグランドマスターなど多数の英知を結集したドリームチームでした。

コンピューターの進歩により、
その後すぐにPCソフトがグランドマスターと互角に戦うレベルに到達しました。
こうしたことから、チェスへの人々の関心が薄れてしまうかという危惧はありました。
しかし、その後のChessソフトは、強いということよりも、
人の能力を向上させる方向に技術を磨き、
よりよきトレーナーとして高品質な商品が発展しました。

またKasparovも、Advance Chess((対戦者が、同じ条件のコンピューターを競技中に使ってプレーすることを認めるルール))といった、トーナメントスタイルを取り入れることで、より発展的にChessを楽しみ、人の能力を引き出すことができるだろうといった発言もしています。

これまでのコンピューター将棋の発展によって、
多くのクラスター化やアルゴリズムなどの技術発展が推進されました。
来るべき日が来るまで、この努力は続くことでしょう。

別の側面として、将棋ソフトは、Chessソフトのようにトレーナーとしての技術開発や、
将棋ファンの間でのコミュニケーションをサポートする技術の発展を遂げていくことになるでしょう。

* 取材の感想戦 [#bada959c]

表彰式を取材する、博物館スタッフ


* SEE ALSO [#jb50aa7d]
#related
- [[コンピュータ将棋協会>http://www.computer-shogi.org]]

- [[習甦の名前の由来について>http://d.hatena.ne.jp/mkomiya/20080517/1211016967]]
- [[囲碁ソフトとスーパーコンピュータ 加藤 竹内>http://www.cc.u-tokyo.ac.jp/publication/news/VOL12/No2/201003igo.pdf]]
//- [[k-armedバンデット問題のゲームにおける試行回数について 但馬 小谷>http://www.tuat.ac.jp/~kotani/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=tajima0805sigal.pdf&refer=lab%2Fpapers%2Fdepot]]
- 将棋世界 1999年8月号 スペシャルインタビュー チェスの世界チャンピオン ガルリ・カスパロフに聞く

* Feedback [#y50d93a4]
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