Abstract Strategy Game Society
開催日 2013年4月20日
場所 東京五反田 アーヴァイン・システムズ会議室
次回開催は、5/25。第3土曜日ではありません。ご注意ください。
暑くなったり、寒くなったり、おかしな天候が続きます。それでも、今回も多数、海外や全国から参加いただきました。
第1部 Abstract Strategy Game Society
正規出展
時間 | ゲーム | 考案者 | 発表者 |
14:10-14:30 | JumPico | 山本さん | 山本さん |
14:30-14:50 | マクベス | 渡邊さん | 渡邊さん |
14:50-15:10 | フレムデフィッシュ Fremde Fisch(仮題) 改訂案 | 正田さん/山本さん | 正田さん/山本さん |
15:10-15:30 | 計画都市 | 土井さん | 土井さん |
15:30-15:50 | 摩訶大将棋 | - | 中島 |
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JumPico | マクベス |
山本さんによるJumPico。まったく小さなボードなんですが、実に面白いアイディアがたっぷり入っています。跳び将棋 / 跳び碁の要素に、1,2,3のドットが描かれた駒と何も描かれていない駒を組み合わせて、匠にスパイスを効かせた傑作です。
渡邊さんは、塾の講師やフットサルのコーチでもあり、ゲームの教育における有用性を重視し独自にいくつかのゲームを考案されたとのこと。当研究会でのはじめての出展は、サイコロを駒に使ったチェスの派生型ゲーム「マクベス」でした。キューブの駒を使った、チェス型ゲームは、幾千ものアイディアがありますが、マクベスはシンプルな発想でルールも明確、確実にゲームが収束するように設計されています。5x5や9x9などのボードサイズと、駒の初期配置(数やポジション)の調整の余地を検討されています。
マクベスは、サイコロがコロコロ転がることで、駒のステータスが変化します。このゲーム、駒が移動先で何の目になるのか、すぐに分かる人と、手元にサイコロを置きながらでないと分からない人がいるようです。空間把握能力や、局面をアブストラクトにとらえる能力など、日常生活では認識しにくい個人の直感的能力の特徴や個体差が、特定のゲームをプレイすることによって如実に炙りだされます。ゲームによって、その人の苦手な題材を判定したり、特定の能力をトレーニングによって向上させる可能性など、今後の活用が期待できます。
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フレムデフィッシュ | 計画都市 |
前回出展のフレムデフィッシュ、考案者の正田さんはルールを少し修正して、わかりやすさを探求しています。もう少しルールと遊具に工夫の余地があると考えているそうです。山本さんは、フレムデフィッシュの、ルールや合法手の判定が難しいところを遊具の工夫で解決する施策を、タイルを使って6x6ボードを発表されました。このゲーム、Abstract Strategy Game Societyの開催主旨どおり、懇親会上でもずっと議論が続く難物です。今後の進展が楽しみです。
土井さんの計画都市。前回作に対して、建物駒のバリエーションを増やし、駒の大きさやデザインを工夫した改良です。建物によるポイントを重視するルールに修正して、ゲームのスピードが向上しました。アブストラクトゲームの場合、オリジナルのアイディアを、確実に良くなるように修正するのは、とても難しいことです。ほんの少しルールを変更するだけで、まったく別のゲームになってしまったり、面白かった要素がなくなってしまうこともあります。土井さんの工夫には、毎回関心させられます。
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摩訶大将棋 |
館長は、スランプで新作ができない状態。先月、ゲーム学会 第4回摩訶大将棋ワークショップでの体験を渡りに船とばかりに、摩訶大将棋セットを製作、展示しました。ボードは、ワークショップでの意見を反映した市松模様にしました。192枚の駒を並べるだけで、結構な時間が必要なため、開場前に事前に並べておいたこともあり、実物を見た人はみな、発表前から質問の嵐です。さすがに、これだけの大型ゲームは圧巻です。大阪電通大の高見先生のご支援により、配布した資料を見ながら、それぞれの駒の名前や動きのユニークさに、一同大興奮です。一方で、どのように遊ばれたのか、それこそ本当に遊べるのかなど、鎌倉時代の創作作品への謎は深まります。
第2部 The Game Party
回を重ねて、パーティーでプレーできるゲームが増えました。ゲームを選ぶのも惑うところですが、参加者のみなさんは、できるだけ当日出展のゲームをプレーするように心がけています。それでも、出展されたゲームと関連した作品や、類似したアイディアを持つ作品も、プレーしたり検討できるのが、この会のすばらしいところ。
優勝は富永先生、2位がDCさん、中島の同点でした。優勝商品は、山本さんのJumPico。
懇親会でも恒例のゲームの検討が延々と続きます。作り手の意図やデザインの背景を聞き出し、「こうすればもっと良くなる」「こういう狙いはデザインからはずせない」などと議論にも熱が入っています。正田さんによるトップゲームデザイナーのReiner Knizia氏へのインタビューの紹介、生写真の披露といった特典もありました。氏の作品は、これまでに500を越え*1、うちアブストラクトゲームは数十作とのこと。もちろん、誰にでもまねできるようなことではありませんが、良作をそれほどたくさんつくるコツは、なんなんでしょうね。