☆☆☆
高橋昌一郎
講談社(2008)
こんな本を読みたかった。 "理性的に(科学的に)合理的な行動は決定づけられるのか", "還元的アプローチによって、すべての自然現象を解き明かせるのか", "数学的に証明されたものは、常に正しいのか"、これらの答えは、 アロウの不可能性定理、ハイゼンベルグの不確定性原理、ゲーデルの不完全性定理 によって結論付けられました。本書は難解なテーマを、実にわかりやすく、 架空のディベート形式で解釈し紹介する画期的な試み。関連する科学的事象や社会 行動、科学史にも触れることで抽象的な理論を具体的で身近なものにしています。 本書の三つのテーマである発見・発明は、二十世紀のものにも関わらず、 二十世紀に教育を受けた人たちの多くは、古典的(19世紀までの)な 数学・物理学の思想に留まっているのかもしれません。理系・文系問わず、 すべての学生に読んでもらいたい一冊です。