ここではMorrisファミリーの中でもっとも代表的なNine-Men's Morrisを紹介します。
Nine Men's Morrisは、写真のような駒と盤を使って2人で遊ぶゲームです。 各プレイヤーはそれぞれ9個ずつの駒(=men)をもち、盤上に駒が配置されていない状態でゲームを開始します。
白駒のプレイヤーから交互に、全部で24ある盤上の交点に、自駒を1つずつ配置してゆきます。
全ての自駒を盤上に配置し終わったら、次のターンから空いている隣の交点に移動させてゆきます。
1つの交点には、同時に2つ以上の駒は置くことができません。
プレイヤーは自駒を3つ、縦か横の直線で並べる(Millを作る)ことができたら、盤上の敵駒を1つ選んで捕獲し、盤上から取り去ることができます。取り去った駒は再利用できません。
敵の駒は、Millを形成していないものから選んで捕獲します。
一度作った自分のMillを壊して駒を進め、次ターン以降、同じ駒を壊したMillに戻して敵を再度捕獲することも可能です。
パスはできません。 最後に残った自駒3つがMillを形成していたとしても、(次ターンで自駒を失うこと、すなわちゲームに負けることになろうとも)自分のターンでは作っているMillを壊して駒を進めなければなりません。
盤上に残された自駒が3駒以下になったら、隣の交点に限らず、空いているどの交点にも移動することができる、というルール(flying, hopping, またはjumpingルール)があります。このルールについては、variantとして扱われるケースも、まったく触れられていないケースもあります。
「一度作った自分のMillを壊して駒を進め、次ターン以降、同じ駒を壊したMillに戻して敵を再度捕獲する」ことについて、一度壊したMillを「すぐ次のターン」では復活させてはいけない、とするルールもあります。
また、Morrisファンの間でも、以下の2つのルールについては議論があるようです。
一度に2個のMillが形成された場合、プレイヤーは、2個の敵駒を捕獲することができるか、否か。
Millを形成していない敵駒がなくなったら、Millの一部になっている駒も捕獲できるようにするか、否か。
1996年にNine-Men's Morrisを解決したRalph Gasserは、Millが2個形成されたときは「通常どおり1個だけ捕獲できる」、すべての敵駒がMillを形成しているときはMillの一部と成っている駒も捕獲できる」という立場をとっています。
相手の駒を捕獲して2つ以下にするか、動けなくしたら勝ちです。 もしも互いに50手ずつ指しても、捕獲された駒が1つもない場合は、引き分け、とするルールもあります。
Nine Men's Morrisのゲーム探索空間は10の50乗、合法手は10の10乗です。
1996年の10月、Ralph Gasserは、「先手後手ともにパーフェクト・プレイをすれば、ゲームは必ず引き分けになる」ことを解き明かしました。
Gasserはまた、Nine Men's MorrisのAIのなかでは最強といわれている、Bushyという名のAIをプログラムしました。
ドイツ語では、Mühlespiel というそうです。ボードの形状を風車に見立てたのか、風車のゲーム意味でしょうか。