Smess: The Ninny's Chessは、1970年にParker Brothersから発売されたゲームです。サブ・タイトルは、「お馬鹿さんのためのChess」ということですが、ボードのマスの矢印どおりに駒を運べばよいので、Chessの駒の動きを覚える前の子供にも楽しく遊ぶことができます。子供向けに、ボードや駒は大変ユーモラスでかわいらしいデザインです。
このゲームは大人が遊んでもとてもおもしろい(?)ものなのですが、そのネーミングとデザインのため大人には遊ばれなかったのでしょう、Parker Brothersは1979年に、ボードと駒のデザインや名前を中世ヨーロッパ風にすっかり変えた、しかしルールはSmessとまったく同じ(駒の動きを制御するボード上の矢印の一部以外)ゲームを、All the King's Menとして発売しました。こちらは明らかに大人をターゲットにした商品です。
上のボードと3種類の駒 (上から、"Brain," "Numskull," "Ninny")で遊びます。 2セットの駒(Brain x 1, Numskull x 4, Ninny x 7)を、ボード上にどの駒を置くかという指示に従い、写真のように配置してゲームをはじめます。
先手は赤、青、どちらでもかまいません。
駒の動く方向は、駒が立っている、各マスに書いてある矢印で決まります。
各駒の動きは下記のとおりです。
駒の上を跳び越すことはできません。
移動させる駒の到着地点に敵駒がいれば、その駒を取ることができます。 取られた駒は、盤から除かれます。駒は、取り捨てで、盤上に戻ることはありません。
相手の Brain を取れば勝ちです。
最後にBrainが両方とも残った場合は、引き分けです。
敵のNumskullと自分のBrainとの間にNinnyを置くことが、(Ninnyを犠牲にしても)Brainを守ることになります。
前後左右、全方向の矢印が記されているマスを制圧、さらにそのポジションを支持する駒を配置し、しっかりと確保すると有利を築けます。
ボード上に駒の動きについての説明がイラスト入りで印刷されるなど、子供にも分かりやすいような工夫がなされています。
子供向けといっているように、戦略性が低いゲームです。 大人同士でプレーすれば、短時間で決着すること必至です。
ボード上のポジションのリンクによって、動ける方向に違いがあるNine Men's Morrisや十六ムサシなどは見かけます。 駒の働きよりも、ボード上の位置による制約を設けるゲームは、 すごろく的な発想としては自然ですが、 チェス型のアブストラクトゲームでこのようなルールを採用しているものは珍しいかもしれません。