Parityは、アブストラクトゲームの中では珍しい、カードを使った完全情報ゲームです。
英国のゲーム作家 David Parlett が、数年の考察の上 2007年8月に発表した、トリックテイキングゲーム*1です。オリジナルのアイディアは、二人で遊ぶものでしたが、後に考案者本人によって三人で遊ぶルールが付け加えられています。(三人プレーは隠匿情報があるため、アブストラクトゲームには分類できません。)
通常のトランプ*2を使います。基本ルールは、二人で対戦します。
すべてのスーツ(スペード, ハート, ダイヤ, クラブ)のA, K, Q, J, 10, 5, 2 とジョーカーを二枚を使います。合計 30枚のカードでプレーします。
ジョーカーにも、黒と赤の色があるものを使うようにします。無ければ、二枚のジョーカーに区別が付くようにしておきましょう。
Parityは、トリックテイキングゲームですので、カードの強さは、
ジョーカー切り札と同じ色 > ジョーカー切り札と違う色 > 切り札 > その他のカード
という具合にカードの強弱があります。同じスートの中では、
A > K > Q > J > 10 > 5 > 2
の順に強さが定義されます。
カードを良く切って、一枚ずつ引き、弱いカードを引いた人が最初のdealerです。 次のゲームから、交互にdealerを交代します。
すべてのカードを良く切って、配ります。 それぞれ15枚ずつのカードを持ってスタートします。
dealerでないプレーヤーが、切り札となるスートを指定します。
dealerでないプレーヤーが提案し、相手が合意すれば、切り札なしのゲーム(ノー・トランプ)とすることができます。この場合、勝利ボーナスが二倍になります。
dealerは、いくつのトリックが取れるかを考えて、目標設定します。 目標は、偶数ターンとるか、奇数ターンとるかのどちらかを宣言します。 偶数奇数のことを英語でParityと呼びます。このゲームの呼称は、 ここから来ています。
dealerでないプレーヤーが先にカードを出します。後に出すプレーヤーは、 同じスートのカードがあれば、必ず同じスート(ジョーカーは含みません) のカードを出します。 なければ、何を出しても構いません。
二枚のカードが出たところで、強いカードを出したプレーヤーがそのトリックを 取ります。先行したカードとスートが同じであれば、カードのスートの強弱で 決着をつけ、異なる場合は、切り札、ジョーカーが勝ちます。 切り札以外の異なるスートは負けになります。
ノー・トランプのラウンドでは、ジョーカーを先行して出すと、 必ずそのトリックに勝ちます。後出しのジョーカーは、 必ず負けるカードになります。
トリックを取ったプレーヤーが、次のトリックで先行します。
15のトリックを終えて、パリティ宣言が一致したプレーヤーのポイントになります。 パリティが一致したプレーヤーは10点と、取ったトリックの数が点数に入ります。 パリティ宣言が一致しなかったプレーヤーは、点数をもらえません。
ノー・トランプのラウンドでは、ボーナスが20点になります。 トリック一勝について一点は、通常のラウンドと変わりません。
必然的に、勝った場合の最低点は10点(トリックを一つも取れずに偶数宣言した場合)、 最高点は25点(すべてのトリックを取って奇数宣言した場合)になります。
先に100点取ると勝ちです。
大差がついた場合オリジナルサイトには、67点でスカンク負け、50点でダブル・スカンクと記述があります。通常、スカンクに成る場合は、勝者が達する点だけでなく、そこまでに差をつけられた側の点数がこれ以下と指定がありますが、オリジナルルールに明確な記述がありません。これは、67
vs. 33 がスカンク、 50 : 0 がダブル・スカンクと解釈べきなのかと推察いたします。
敗者の得点が67点未満でスカンク、50点未満だとダブル・スカンクとなります。
完全情報ゲームのカードゲームです。自分の手を良く見て相手の手を読み取りましょう。 出されたカードも全部覚えておけば、必勝間違いなし!? です。
通常のカードゲームでは、自分のカードは相手に見せないのですが、 カード全体の集合から、自分の手や出された手を考慮すると、 相手の持っているカードが分かるゲームは、完全情報ゲームに分類できます。
このゲームのように、 カードゲームでもアブストラクトゲームとなるルールがいくつかあります。