Abstract Strategy Game Society
開催日 2013年2月16日
場所 東京五反田 アーヴァイン・システムズ会議室
毎回国際色豊かな当会ですが、今回もインドから1名参加していただきました。彼は、展示品のVaranasiを見るなり、どうしてVaranasiなのかとの質問。以前、Varanasiに住んでいたのだそうです。ハノイの塔のエピソードを話したところ、とても興味をもったようです。
研究会での検討も、前回参加いただいた古作さんはじめ、ゲーム上級者の比率もほどよく増して、考案者にとっても参考になる厳しい指摘がバシバシと出る、活気あふれた内容になりました。
第1部 Abstract Strategy Game Society
正規出展
時間 | ゲーム | 考案者 | 発表者 |
14:10-14:30 | Laser Cruster改 | 土井さん | 土井さん |
14:30-15:50 | HEX碁 | - | 南雲さん |
15:50-15:30 | Yavalath, LOT, OLIX | Cameron B. Browne, Nestor R. Andres, Reiner Knizia | 正田さん |
15:30-15:40 | Scalas | 中島 | 中島 |
16:00-16:10 | 空中回廊 改 | 山本さん | 山本さん |
![]() |
![]() |
Laser Cruster | HEX碁 |
Laser Crusterは、前回同様まだゲームバランスを調整中のゲームですが、前回指摘のあった、駒の配置における安定性の向上や、先後の有利不利バランスの調整などをしての出展です。ずいぶんと面白くなったとの意見や、着手においてさらにプレーヤーの裁量を増やしてみてはどうかなど、参加者から多くの意見がだされていました。
HEXボードでプレーする変形囲碁は、南雲さんによる出展です。以前AI研究のテーマとして取り上げ、ボードを自作したのだそうです。囲碁を知らない人向けにも、簡単な囲碁講座もやっていただきました。
囲碁には、地の数え方に中国式と日本式がありますが、南雲さんによると、HEXボードを使った囲碁では、日本式では難しすぎるため、中国式を採用する方がわかりやすいとのこと。また、コミについても、実践履歴のないHEX碁では、どの程度が妥当か分からないため、各プレーヤーがどの程度のコミがあれば後手を持ちたいかという、オークションによってコミの値を決定するルールを採用するのが有力だろうと述べられています。これに合わせて、囲碁のコミのルールの変遷について、古作さん達から聞けて、一同関心です。
このボードでのゲーム、囲碁高段者の南雲さんと古作さんで検討しますが、通常の囲碁とずいぶんと異なる点があり、同じゲームとは言えないほど難解だとの意見。ボードや初期配置を変えると、がらっとゲームが変わるのは、アブストラクトゲームの特徴でもあります。
![]() |
![]() |
![]() |
Yavalath | LOT | OLIX |
正田さんによって紹介された3点のゲームは、配列ゲームをテーマとして選んでいただきました。いずれも、近年の作家による考案ゲームですが、あまり日本では知られていません。いずれも、単純そうに見えても、深い読みが必要な面白いゲームばかりです。良質のゲームに共通な点ですが、一度プレーすると、何度も対戦してみたくなります。
![]() |
![]() |
Scalas | Whose Foods |
中島のScalasは、プレー前の説明では、駒を置けるところの判定が少々難しいのではないかと心配されましたが、やってみると配置可能なポジション判定の制約こそが、このゲームの肝で、理解も容易あることがわかります。プレーしてくれた方はいずれも、戦略性の点からも、3D空間での思考も面白いと評価をいただきました。このゲームは、序盤戦略、中盤戦略、終盤戦略と、それぞれ異なる局面/手の評価が必要です。
山本さんのWhose Foodsは、中島のVaranasi、T4、Scalasなどに触発されて考案された、ちょっと欲張ったゲームです。得点方式や禁じ手に調整が必要ではないかとの意見がありましたが、駒のスタックやゲームの対称性など新しい試みに期待が膨らみます。
第2部 The Game Party
南雲さんは、HEX碁に加えて、HEXオセロボードも自作され、持ち込んでくれました。時間の関係で、検討会では検討できませんでしたが、パーティーですこしだけプレーしました。
今回は、検討するゲームが多い上、研究会で闊達な意見が続出したため、開始予定時刻を少々割り込んでの大会となりました。さらに、プレーできるゲームの数も多い上、比較的プレー時間の長いものもあり、発表されたすべてのゲームをプレーするには時間が足りないといった様子です。得点を獲得するには、テンポよく進むゲームを数多くプレーするのが良いのですが、発表されたゲームも面白そうだし、悩みどころ。結局、懇親会に行っても、ずーっとゲームをプレーしていました。
優勝はまたしても土井さん、2位が古作さん、3位は南雲さんでした。 優勝商品は、山本さんのKing's Valley。