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Abstract Strategy Game Society

第33回 Abstract Strategy Game Society & The Game Party の記録

開催日 2015年3月21日

会の様子

場所 東京五反田 アーヴァイン・システムズ会議室

会の開催の前に、悲しいお知らせがありました。2015/3/3 Positの考案者の飛田伸一氏が急逝されました。 デジタル版のPositのCubeSiegerが公開された時、一度社に来ていただいたとき、ゲーム談義に花が咲いたことが思い出されます。とても聡明で、楽しいことやものづくりが好きな方でした。謹んで、お悔やみを申し上げます。

第1部 Abstract Strategy Game Society

今回は、初参加の方が4名と、いつもよりも活気にあふれた会になりました。しかも、初参加された方のうち3名が、自身の作品の検討のため参考出展され、検討会の時間を大幅に延長して熱い議論が交わされました。

正規/参考出展

時間 ゲーム 考案者 発表者
14:05-14:33 Zodiac 山本さん 山本さん
14:35-15:19 Number Flags (改) Stew Eucenさん Stew Eucenさん
15:20-15:47 Posit 飛田伸一氏 中島
15:47-16:05 (参考) Flower and Ball(仮) 竹村さん 竹村さん
16:10-16:25 (参考) ぴょこ(仮) 時田さん 時田さん
16:25-16:50 (参考) 宇宙将棋(仮) 原口さん 原口さん
 
Zodiac Number Flags (改)
Zodiac Number Flags (改)

山本さんのZodiacは、星座12宮をモチーフにしたコンパクトなゲーム。ボードは、めずらしいダビデの星*1型をしています。中央の6角形に自色の駒でマジョリティーを確保するのが目的です。中立駒の働きと、飛び越えると色が反転する要素で、小さなボードでも十分に複雑な変化をします。局面判断が難しく、深読みできるかどうかが勝負の分け目になりそう。コンピューターを使って完全解析の題材にも面白いと好評でした。 

Stew EucenさんのNumber Flagsは、以前出展したもののルール改訂版。数独的パズル要素を持った競争ゲームです。検討会で試遊してみると、ゲームが停滞してしまうような進行があり、興が覚めないようルールを微調整を施しました。

Posit Flower and Ball 仮
Posit Flower and Ball(仮)

Positは、国産アブストラクトゲームの古典的傑作の1つ。考案者の飛田さんの追悼として、今回中島が紹介させてもらいました。ルールはとてもシンプルで、誰でもすぐ初められるこのゲーム。一見するとボードが広く、相手を捕まえにくそうに見えるのですが、ゲームが進むとあっと言う間に収束していきます。自由度を確保することが重要な序盤、不利になっても相手を待ち伏せする中盤の作戦、無駄に見えそうな手筋を使って不利な局面を打開する終盤の戦略もあり、とにかく良くできています。なによりも、3D視点の面白さは秀逸です。オリジナルのキューブを積み上げるスタイルのものが、視覚的にもとても美しい製品です。 名作の1つのPositですが、検討会で初めて見る人も多く、ゲームの考案を志す人の集まる場で紹介した価値があったかと思います。

Flower and Ballは、方向のあるペンローズ・タイルを使った戦略パズルゲームです。ペンローズ・タイルにはいろいろと面白い性質があり、それを対戦ゲームの中に取り入れることができないかという意欲作です。まだ完成していないのですが、ルールの方向性を検討したい、とのことで参考出展され、みんなで検討しました。 ペンローズ・タイル特有の特定の図形ができたら得点を加えていくという基本ルールに、手番内でのアクションの数や着手の限定ルール、得点方式の工夫、終局判定や逆転要素など、参加者からさまざまな意見が出ました。今後のルール整備が待ち遠しい作品です。

ぴょこ(仮) 宇宙将棋(仮)

時田さんは、思考戦略ゲームやパズルの検討が大好きなのだそうですが、日常的には対戦相手の確保や研究成果の共有が難しく、なかなか他の人の意見も聞けないということで、初めて研究会に参加されました。抽象的でパズル性の高いゲームに感心が高い時田さんの「ぴょこ」は、独自に検討し考案したnimのバリエーション。 Chompなどの2次元nimの一種で、山本さんのOKI24をシンプルにしたルールです。時田さん自身が、局面毎の必勝形などについて、詳しく研究されていました。

原口さんの宇宙将棋(仮)は、HiveTile Chessの要素に、将棋の取った駒を再利用する仕組みを取り入れたゲームです。相手の駒を挟むか、ボードの端で相手周囲が包囲されることで駒を確保します。ボードは、実質無限大の空間に広がりますが、戦場となる領域を4x4に限定することで、ゲームをきちんと収束させています。終盤は、さまざまな形で詰めろが掛かりますが、それを逃げるための手筋も出現して簡単には決着しません。将棋などに共通な、直接的な手よりも、含みを持った手が有効な戦略性があり、なかなか不思議な感覚のゲームです。攻めが続いている側が押し切ってしまう展開から、逆転の手順がみつかるのか、もう少し時間をかけて検討してみたいゲームでした。

第2部 The Game Party

優勝は、川崎くんが初の栄冠です。最終ゲーム、これを勝てば総合優勝というところで、山本さんを相手に勝利をもぎ取りました。

2位は初参加の時田さん、3位はStew Eucenさんでした。

第3部 Yet Another Game Party

オフィスに残って、検討時間が足りなかったゲームや、初参加の方たちにこれまで出展されたゲーム数点の紹介がされました。 また、inpHeXionが、BoadGameGeekの2014年Best Combinatorial Gameにノミネートされていることから、他のノミネート作品も検討してみました。

Last-modified: 2015-03-23 (月) 15:07:39