飛び越えて敵駒を捕獲するというルールを持つゲームの元祖であり、Checkersの起源であるといわれるアルケルク(Alquerque)の原型は、なんと紀元前3000年ごろから存在していたことがわかっています。
アルケルクは古くからエジプトで遊ばれていたようで、紀元前1400年ごろに建てられたエジプトの寺院で盤が発見されています。紀元10世紀の Kitab-al Aghaniというアラビア語の文献に、アルケルクはQuirkat(キルカット)という名前で記述されています。しかしこの文献には、ルールの説明はありませんでした。
その後このゲームは、ムーア人によってスペインにもたらされました。13世紀にカスティーリャ王 Alfonso Xが編纂した 'Libro de los juegos' (「ゲームの本」)に、このゲームは Alquerque の名前で登場し、ルールが解説されました。 R.C.Bellは、1960年に出版された参考文献/Board and Table Games from Many Civilizationsの中で、'Libro de los juegos' に記述されたルールを紹介したうえで、それらだけではゲームをプレイするのに十分でないとし、追加のルールを提案しました。
5 x 5の正方形のマス目に斜めの線が入った盤を使います。 白黒12個ずつの駒を、盤の交点に、写真のように初期配置します。 駒は、盤の線上を、縦、横、斜めに一目ずつ進みます。
駒は空いているマスにのみ、移動することができます。
敵駒が隣の交点にいて、その次の交点が空いていれば、敵駒をジャンプして捕獲します。自駒の頭上を飛び越えることはできません。
捕獲可能な時は、必ず捕獲しなければなりません。ただし、複数の駒の捕獲が可能なときはどちらを取るか選択できます。
捕獲できるのにしなかった場合は、次のターンの前で、「ジャンプできたのにしなかった」駒が、盤上から取り去られ(=Huffed)ます。その後、次のターンは、通常どおり続けられます。
ジャンプは1回1マス分ですが、一度着地してから連続してジャンプできる場合は、1ターンに複数の敵駒を捕獲することができます。連続捕獲時は、一度着地してから別の方向にジャンプすることが可能です。
連続ジャンプの途中でKingに昇格した場合、そこでジャンプは終了し、以降の動きは次のターンにおくります。
B.C.Bellはゲームのゴールを1つ追加し、さらに、ゲーム結果のスコアリング・ルールも提案しています。このルールですと、どのくらいの差で勝った・負けたということが点数で分かりますし、複数回勝負をしたときに、合計点を競うことができます。ポイント制は、バックギャモンやブリッジのように、「賭け」を目的として導入されたのではないかと推察できます。
負けたプレイヤーがより多くの駒を盤上に残している場合、負けたプレイヤーは、「負け」に対して2点、盤上に残っている「自駒数 - 敵駒数」に対して1点ずつ、マイナス点をもらいます。
Alfonso Xの'Libro de los juegos'も、R.C.Bellの参考文献/Board and Table Games from Many Civilizationsも、引き分けについて触れていないのですが、物理的には、明らかに、互いにそれ以上の駒を捕獲することが不可能であり、盤上に残った駒が同数である場合、 引き分けになります。このゲームでは、引き分けになるケースは多いようです。
ゲームの初手は絶対に捕獲ができない一手となるため、先手が不利であると考えられています。