Checkersには、プレイされる国別に多くの派生がありますが、アメリカではCheckers, イギリス、オーストラリアなどイギリス英語圏ではDraughtsと呼ばれています。 スペイン語圏ではDamas, フランス語圏ではDames, ドイツ語圏ではDame(すべて、女王/Queenの意味。ゲームの名前の由来となった中世ChessのMedieval Queenは、斜め前方か後方に1マスずつ、つまり Checkersの駒と同じ動きをしていました。)とも呼ばれています。
数多くのChekers variants間の主な違いは盤の大きさと駒の数です。
トラディショナル・チェッカー(地域ごとに伝統的に遊ばれているもの)は、以下の3種類に大別されます。
以下は上記3種類のルールを組み合わせたその他のトラディショナル・チェッカーです。
また、トラディショナル・チェッカーの基本ルールを踏襲しながらもルールや目的の一部または全部を変更したものがあります。また、盤の形を円形にすることで、駒の動きの違いを楽しむものもあります。
Checkersという名は、市松模様(Checker柄)のChessボードを使用することから由来するようです。
欧米ではChessに続いてポピュラーなボードゲームですが、日本では不思議なほど人気がありません。
飛び越えて敵駒を捕獲するというルールを持つ元祖であり、Checkersの起源であるといわれるAlquerque(アルケルク)というゲームの原型は、なんと紀元前3000年ごろから存在していたことがわかっています。 Alquerqueは紀元前1400年ごろからエジプトで遊ばれるようになり、その後ムーア人によってスペインにもたらされましたが、12世紀ごろの南フランスでChess盤でプレイされるようになったのがCheckersの始まり、という説が有力です。
当時フランスではこのゲームは、Chessの'ferses'(=中世ChessのMedieval Queen)と同じ動きをする駒で遊ぶゲーム、ということで、'Fierges'と呼ばれていました。*1 Chessでfersの呼び名がdame(= queen)となったのに伴って、このゲームの名も'Dames'になりました。
1535年ごろ「敵駒を捕獲できる際は強制的に捕獲しなければいけない」というルールがフランスに導入され、このルールを採用したゲームを、'Jeu Forcé'(強制ゲーム)と呼ぶようになりました。 また、'Jeu Forcé'と区別して、旧来の、強制捕獲ルールを採用しないゲームを 'Le Jeu Plaisant de Dames' と呼ぶようになりました。
'Jeu Forcé'は、現代のEnglish Draughts (American Checkers / Straight Checkers)の原型となりました。
'Jeu Force'はその後イギリスに渡り、再び別の 'Draughts' という名を得ました。 17世紀ごろまでには、ゲームは西ヨーロッパ全土に広まりました。
その後、ゲームはアメリカ大陸に渡り、再び別の名 'Checkers' を得ました。
1847年には、最初の世界チャンピオンシップが開催されました。
第二次世界大戦前から、Checkersは数学者の研究対象として注目されていました。それから半世紀以上後の2007年7月には、ChinookというCheckersをプレーするコンピューターの研究者によって、最善な手を選択した場合のCheckersが解明されました。 詳しい記述は、アブストラクトゲームとコンピューターのコラムに掲載しています。
ここでは、Checkersの仲間に共通(=もっとも一般的)のルールを紹介します。(各ゲームに特有のルールは、個別のページで説明します。)
各プレイヤーは12個(English Draughts (American Checkers / Straight Checkers)などの場合。ゲームによって8個、16個、20個、30個など)の駒("men")をもち、8x8, 10x10, 12x12のいずれかの盤を用いて、ゲームをスタートします。
Chessと同様にボードは、手前右下のマスが白になるように置いて使います。
Checkers駒は、写真のように 互いのベースラインから中央に向かってすべての駒を盤の黒マスに配置します。 (書籍などで、駒を白地のマスの上に置いている図を見かけますが、これは便宜上の表現で、駒とボードを区別しやすいように、ボードの色を反転させているためです。)
駒の動きはすべて斜めです。(ですので、ゲーム進行中ずっと、盤の黒マスしか使用しないことになります。) Kingに昇格するまで斜め前に一マスしか進めません。 開いているマスにのみ、移動することができます。
敵駒が斜め前にいて、飛び越える駒の直後のマスが一つ以上空いていれば、敵駒をジャンプして捕獲します。自駒の頭上を飛び越えることはできません。
捕獲可能な時は、必ず捕獲しなければなりません。(強制捕獲)
ジャンプは1回1マス分ですが、一度着地してから連続してジャンプできる場合は、1ターンに複数の敵駒を捕獲することができます。連続捕獲時は、一度着地してから別の方向にジャンプすることが可能です。
敵陣のベースラインに到達するとKingに昇格し、斜め後方にも1マスずつ、あるいはいくつでも、移動が可能になります。 連続ジャンプの途中でKingに昇格した場合、そこでジャンプは終了し、以降の動きは次のターンにおくります。
King駒は、同色の駒を2枚重ねて他と区別します(クラウニングといいます)。駒の裏表に印が付いている場合は、将棋の成りと同じように、駒をひっくり返して成りを示します。
自駒にブロックされない限り(敵駒が移動の道筋にある場合はジャンプして捕獲するので、敵駒にはブロックされません)好きなだけ進むことができる強力なKingを 'Flying King' といいます。Continental Checkers (International Draughts/International Checkers/Polish Draughts/Polish Checkers)などではKingはこのFlying Kingに成りますが、English Draughts (American Checkers / Straight Checkers)などでは、Kingは斜め前方に追加で斜め後方に1マス移動できるようになるだけです。
ジャンプが強制ではない代わりに、次のターンの前で、「ジャンプしようと思えばできたのにしなかった」駒は、盤上から取り去られる、というルールです。その後、次のターンは、通常どおり続けられます。 American Checker Federationも English Draughts Associationも、この派生ルールを廃止しています。
敵の駒をすべて捕獲するか、敵に合法手が残っていない状態にすれば、勝ちです。 うちいずれかを、どちらのプレイヤーも達成することができない場合、勝負は引き分けになります。 ChessのStalemate(合法手が残っていない状態)は引き分けですが、Checkersでは、「負け」になります。
Checkersは、引き分けになることが多いゲームです。 引き分けになる確率を下げるため、正式な試合では現在、three-move restrictionという手法が好んで用いられます。最初の3手は、あらかじめ吟味されて決められた156種類のオープニング・セットの中から「くじ」でランダムに決定し、両プレイヤーがそれぞれ赤と黒をプレイして2ゲームをおこないます。
アメリカ合衆国のチャンピオンシップでは、1900年から1934年までは、最初の2手を固定するtwo-move restrictionを、そして1934年以降はより厳しい制約をかけたこのthree-move restrictionを採用しています。
Checkersでは、ジャンプできる場合は強制的にジャンプしなければいけない、というルールが、ゲームをずっとチャレンジングにしています。
なるべく早く、たくさんの自駒をKingに昇格させること、反対に敵駒は昇格させないこと、敵駒に捕獲されないよう、自駒の配置や近隣の空きマスに気を配り、敵駒のジャンプ捕獲を阻止することが肝要です。