日本でも放映された、米国の有名TVシリーズStar Trek*1の劇中で、カーク船長とスポックがプレーして評判になった、立体(3D)のChessと将棋の仲間です。
劇中でプレーされた映像を見たファン達が、ゲームボードと駒を見て、独自に実際に遊べるルールを創作され、ゲームのルールもさまざま存在しています。
この3次元Chessは、Franz Joseph著の"Star Trek Star Fleet Technical Manual"に、初期配置と簡単なルールが考案されたのが発端となり、1976年にAndrew Bartmessによって、ルールが整備されました。現在Andrewによるルールは、"The Federation Standard 5.0"となり、氏によりルールブックが販売されています。
また、FIDE*2のルールをベースにしたトーナメントルールが、Jens Mederによって提唱されています。
ページ下の写真は、The Ranklin Mint社製の U.S.S. ENTERPRISE(TM)*3 THE OFFICIAL STAR TREK TRIDIMENSIONAL CHESS SET です。
他にも、シリーズNext Generationをモチーフとしたバージョンや、ファンによる自作のボードなど、さまざまなものが作られています。
さまざまなルールがありますが、ここでは、Franklin Mint社のオフィシャル製品を基準に紹介します。ボードや駒の素材・色もいろいろな種類がありますが、Star Trek 3D Chessの基本的な構成は同じです。
4x4のCheckersのメインボードが3段 それぞれのメインボードの4隅に脱着可能な2x2のアタックボードを4枚、立体に組み合わせて使います。
これらのボードのマス目は合計で (4x4)x3 + (2x2)x4 = 64 で、オリジナルのChessの 8x8 = 64 マスと同じです。
3枚のメインボードは、真上から見ると、上中下の3段に上下のボードが、それぞれ中段に2ランクが重なるように設置されています。 アタックボードはそれぞれ、4マスのうち1マスがメインボードと重なります。
駒は、通常のChessの駒(写真では金と銀)を使います。
最下段のメインボードをシルバーボード、最上段のメインボードをゴールドボード、と呼び、 プレーヤーは、それぞれのボードの側に座ります。
アタックボードをゴールド、シルバーボードのそれぞれ手前のランクに左右一枚ずつ設置し、写真の駒の配置してゲームを開始します。アタックボードは、それぞれKingが初期配置で乗っているボードをKing's Level、Queenが乗っているボードをQueen's Levelと呼びます。
基本的なルールは、Chessと同様です。 例外として、3Dボードと、脱着可能なアタックボードについての特殊なルールがあります。
上下と中央のメインボード、またアタックボードとアタッチされたメインボードには、真上から見ると重なりがあります。3D Chessでは、Chessの駒の動きをした結果、この重なりがあるボードについては、任意のボード(上の真上から見た同じマス)へ移動ができます。これによって、駒を取らなかったり、同じマスに複数の駒を配置したのと同様な効果を得ることができます。
アタックボードの所有者(初期配置では、それぞれのシルバーボード上のアタックボードはシルバー、ゴールドボード上のボードはゴールドの所有)は、アタックボード上にポーンが1つ乗っている状態か、何も乗っていない場合、アタックボードを任意のメインボードの4隅に移動することができます。この移動は、手番で1手使うのと同じです。 初期配置を離れたアタックボードは、それぞれのボード上に乗っているプレーヤー駒の多いプレーヤーに所有権があります。ボード上に駒が乗っていない場合は、ボード上に駒が乗っていた時の所有者のボードとなります。
通常のChessと同じく、Checkmateを目指します。 引き分けのルールについても同様です。
3D形状を生かし、オリジナルChessプレーヤーにとっても入りやすいルールです。 重なりのある位置は、別のレイヤーに移動できることや、アタックボードを(移動させる+占領する)ところは、Star Trekの世界観を上手に反映しています。
写真の製品は、装飾品としては、モダンで美しい造形です。もちろんきちんと遊べるのですが、どうしても形状から、駒の移動やアタックボードの移動などで、他の駒を落としてしまう危険があります。
Star Trekをモチーフにしたコンピューター上のゲームには、他にTrekなどがあります。