3 Man Chess は、3人でプレーするチェスです。
3人でプレーするChessは、18世紀の初めごろから遊ばれるようになったようですが、ほとんどが三角形の盤を使用したものでした。 さらに、3人のプレイヤーが通常のChessと同じようにプレイするのではなく、3人が別々の役割をもってプレイする、というvariantsもあるようですが、ここでは、丸い盤で、3人のプレイヤーが一部特殊ルールを用いながら、通常のChessと同じようにプレイする3 Man Chessを紹介します。
写真のボードを使い、セットアップします。 初期配置では、すべてのPlayerがKingを左、Queenを右に配置するところが、通常のChessと異なります。 はじめの手番は白で、以下時計回りにプレーします。
盤の中央に駒をおくことはできません。(通過するだけ) 斜めには、各マスから伸びている軌跡線に沿って動きます。中央に到達したときは、方向が変わることになります。また、斜めの動きで一番外側のマスに到達した場合、そこでターンはいったん終了です。(その駒を同じ手の間に、折り返して内側に動かすことはできません。) 横の動きは円盤の各同心円上、縦の動きは円盤の直径上でおこないます。 Knightは、通常の斜めの動きの代わりに、2マス縦+1マス横、または1マス縦+2マス横のいずれかの動きをします。
盤上の太い緑色の、一番外側の同心円を区切るラインが、各プレイヤーの陣地間の「堀」(Moat)で、「ブリッジ」の状態になるまで、どの駒もこれをまたいで移動することはできません。 ブリッジになる条件は以下のいすれかです。
堀がブリッジ状態にある場合も、以下の2つの動きは禁止です。
また、盤上の細い緑色の、外側から2つ目と3つ目の同心円を区切るラインが、各プレイヤーの陣地間の「小川」(creek)です。
そのほかのルールはChessと同じです。 Pawnは、進行方向の相手陣一段目まで進むと、PawnとKing以外にプロモーションします。 アンパッサンやキャスリングもあります。
通常のChessと違い、Kingが取られて初めてCheckmateとなります。Checkmateは、最初にCheckをかけたプレイヤーとは別のプレイヤーがそのKingを取った場合も成立します。
Kingを取られたプレイヤーはゲームから敗退し、残りの2人でゲームを続けます。 次にKingを取られたプレイヤーが2位、最後に残ったプレイヤーが勝ちとなります。 1人が他の2人のKingを同時に取る、というのが、究極の勝ち方です。
敗退したプレイヤーは、取られていない駒を、そのまま、盤上に残します。 盤上に残った駒があるマスに移動したい場合は、通常と同じように残った駒を取らなければなりません。
もしも、上記のCheckmateが誰にもかかっていない状態で、1人が合法手が残っていない状態に陥った場合、そのプレイヤーは敗退し、残りの2人は引き分けになります。
この引き分けについては、ゲームの作者も、「なんとか論理的に納得のゆくほかの解決方法をみつけたかったが、みつけることができず、やむなく引き分け、という結論になった」と述べています。
通常のChessでは、一方に合法手が残っていない状態は、Stalemateになって両者引き分けとなるのですが、プレイヤーが3人いる場合、一人がStalemateになっても残りの2人でプレイを続行できそうなものですが、Kingを取られて初めて敗退するというルールであるため、このような形になるわけです。
4人Chessにも同じことが言えるのですが、通常2人であるプレイヤーの数を増やして遊ぶために、盤の形を変え、盤の周囲に駒を配置するようにし、その結果、陣地が隣接するプレイヤー間で初手でいきなりRookを取れてしまわないように「境界線」(しかも2種類)を設け、さらにその境界線の定義をゲームの進行状態で変えて…と、矛盾なくゲームを成立させるためのチャレンジがうかがえます。
3D Chessも、通常は2次元のボード上で遊ぶChessを3次元で遊ぶためにさまざまな工夫を凝らしていますが、ゲームが複雑になりすぎて、楽しめるものにはなっていません。
Chessや囲碁、将棋のように洗練されたアブストラクトゲームは、古くから多くの人々にプレイされ、無駄が削ぎ落とされ、ゲームをよりスリリングにするために駒の動きにも何度も変遷がみられるなど、ゲームとしての進化は完成形に到達しています。
このゲームは、そこに何か手を加えて、さらに面白くしようという試みをエレガントに成功させることは本当に難しい、というよいサンプルかもしれません。