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INTRODUCTION

Four-Handed Chess には、そのボード、KingとQueenの初期配置、Pawnの進め方などの組み合わせに数々の別バージョンが生まれ、遊ばれました。

おそらくFour-Handed Chessについては、参考文献/The Classified Encyclopedia of Chess Variantsが一般に入手できる書籍のなかではもっとも詳しくルールの検討がされた資料でしょう。当館では、さらに独自に調査を加え、Four-Handed Chess ルール一覧に、さまざまな土地でのローカル・ルールや、商品版ゲームの特徴を分かりやすく比較表にまとめました。

Chess 4

HISTORY

Four-Handed Chess は、広義には4人でプレーするChess Variantsの総称ですが、より具体的には、通常のChess盤の4辺それぞれに拡張盤がついたボード上で、4セットのChessmenを使い、4人が2人ずつのチームに分かれてプレイするゲームを指します。

18世紀ごろにはすでにプレーされており、起源は、ドイツであるとも、ロシアであるとも言われています。

19世紀末ごろまで、イギリス、ドイツを中心に人気が高かったようですが、その後、プレイ人口はだんだんと減ってゆきました。

1825年から1875年までの50年間には、イギリスを中心とした欧州やアメリカで、それら別バージョンのルールを解説する多くのブックレットが出版されました。
第二次大戦前までロンドンには専用のクラブがあり、深夜まで夢中でプレイする人の姿がみられたようです。アメリカでは少なくとも1961年まで、トーナメントが存在しました。

1960年代から1990年代にかけて、Four-Way Chess, Fouray, QuadraChessなど、多くの製品版が発売されています(写真はWOW Toys, Inc.のChess&super{4};)。

BOARD & PIECES

Chess 4の初期配置

2人ずつのチームに分かれてプレイするチーム・プレイと、それぞれのプレイヤーが個別に闘うシングル・プレイ(勝ち抜き戦)とがありますが、ここでは、より一般的なチーム・プレイを中心に紹介します。

また、先に述べたように、Four-Handed Chessのボード、ルールには数々の別バージョンがありますが、それらの間の主な違いは、拡張盤のサイズ、KingとQueenの初期配置、そしてPawnの動きにあります。
ここでは、Four-Handed Chessのゲーム・デザイナー/解説者として多分もっとも有名で、そのルールが広く支持されているGeorge Hope Verneyのバージョンを紹介します。

写真のようなボードを使い、セットアップします。 盤は、通常のChessボードの4辺に、エクステンションがついたものを使用します。Verneyのバージョンは写真と同じく8x3ですが、8x2 や 8x4の拡張盤を使うこともあります。

駒は、Chessと同じものを使用し、外側2列に並べます。 Queenは必ず白マスに配置します。 KingとQueen以外の駒は通常のChessと同様に配置します。

チーム・プレイ

シングル・プレイ(勝ち抜き戦)

別表にまとめた異なるルールのほとんどのバージョンで、同じ盤と駒を使って、2人から4人のプレイヤーでシングル・プレイを楽しむことができます。

Checkmateされたプレイヤーは敗退してゲームから抜け、それ以外のプレイヤーでゲームを続けます。

以下、シングル・プレイのルールは、WOW Toys, Inc.のChess&super{4};のマニュアルからの抜粋です:

Pawnは、斜め前方向に攻撃をかけにいくとき以外、前にしか進めません。Kingの列のすぐ左か右か正面に迫ったときには、通常のChessのルールにある全ての特権を獲得します。

Checkをかけられた状態でも、対抗する動きをとるためには、次の自分のターンを待たなければなりません。 誰かがあるプレイヤーにcheckをかけ、それを活かして次の順番の人がそのプレイヤーにCheckmateとした場合、そのCheckmateは、最初にcheckをかけたプレイヤーではなく、実際にCheckmateしたプレイヤーのものになります。

勝ち抜きの過程で敗退してゆくプレイヤーの駒の使い方について、下記のような2つの別のルールがあります。

Goal

チーム・プレイ

敵チームのKingを両方ともCheckmateすることが、ゲームのゴールです。 もしも1人がCheckmateされても、チーム・メートがStalemateされた場合は、引き分けです。

シングル・プレイ

最後までCheckmateされなかった人が優勝です。優勝者以外の順位は、Checkmateされた順に4位, 3位, 2位とするのが一般的なようです。

STRATEGY

駒の動き自体は通常のChessと(ほとんど)同じなのですが、それらの働きとゲーム・プレイは大きく異なります。 Queenは支配的な役割を担います。KnightsやPawnの価値は著しく下がり、Bishopの価値はRookのそれに近づきます。

また、Four-Handed Chessのバリエーション間に見られる、ボードのエクステンション・サイズ、KingとQueenの初期配置、Pawnの動きに関するルールの違いで、ゲーム・プレイはびっくりするほど大きく変わります。別表参照

NOTE

チーム・プレイでも言葉を交わさずにパートナーの意図を読んでうまく共闘しなければならない、というルールも、このゲームの面白さにもうひとつのスパイスを添えています。

ゲームの盛衰

Four-handed Chessは、Chessの派生として一時的に流行したゲームかと思っていましたが、実は非常に多くの人に遊ばれ、いくつもの異なるルールの組み合わせとそれらを巡る議論が活発に闘わされ、200年間「集中的に」プレイされていたことに驚きました。おそらくは、日本での麻雀のような人気で、同じ四人で遊ぶコントラクト・ブリッジを凌ぐ人気だったのではないでしょうか。遊びこんだら、すごくおもしろそうです。

将棋でも、徐々に衰退していった*1中将棋に見られるように、社会環境の変化とともに流行が移り変わっていくのでしょう。 囲碁や将棋は、手談とも言います。本博物館のため、さまざまなゲームを調べていくと、 ゲームの流行の移り変わりや、ルールのローカル性など、 言語に類似する部分が多くあることを認識しました。

Ruleの工夫

Chess の駒の動きは、将棋に比べて強力です。四人将棋では、通常の盤と同じものを採用していますが、Four-Handed Chessでは、もとのボードに対してExtensionの付いたものを使います。このような形でないと、いきなり初手でルークを一つ取ることができてしまいます。また、2列のExtensionでは、初手でPawnを一つ取ることができるので、端のPawnについては、特別なルールを設けたものがあります。このような、両脇に対しての配慮は、3 Man Chessにもありました。

また、Four-Handed Chessでは、Queenの位置も、お互いの効筋にならないように配置を工夫しているものがほとんどです。いきなり、強力な駒を一方的に取ったり、そうでなくとも、開戦直後から取り合いになってしまっては、序盤を飛ばしていきなり終盤になり、興がそがれてしまいます。*2 Extensionの発明がFour-Handed Chessの成立には不可欠な要素でした。

SEE ALSO

Last-modified: 2014-08-23 (土) 17:45:54