Alice Chessは、1953年にV.R. Partonによって考案されたChess Variantです。ゲームのモチーフは、鏡の国のアリスです。Alice Chessは、大変によくできたルールのゲームであり、Chess Variantsの中でも、実際にプレーしている競技者の多い人気ゲームの一つです。
参考文献/世界のゲーム事典にもゲームが解説されています。
Chessmenは、通常のChessと同じものを一組使います。駒の動きは、通常のChessと同じです。
Alice Chessでは、通常のボードを二面使います。それぞれのボードをAボード、Bボードと呼びます。 A,Bのボードの同じ位置のマスは、お互いに対応しています。
初期配置は、 Aボードに通常のChessと同じように駒をセットアップします。Bボードには何も置きません。
白が先手で始めます。
それぞれのプレーヤーは、次のルールに従いどちらかのボードに対して一手指します。
これらのルールから、対応する二つのボード上のマスの両方に駒が存在することはありません。
Alice Chessのオリジナルルールには、上記のこと以外は明言されず、通常のChessに準ずることになっています。しかし、通常のChessにある、Castlingとen passantについては、もう少し踏み込んだ考察が必要です。
基本のキャスリング条件に加えて、対象のKingとRookの移動先が別の駒で占有されていないという条件によって、矛盾なくキャスリングルールを採用できます。
アンパサンについては、多くの議論がなされています。というのも、アンパッサンが生じるときに、Alice Chess特有の問題が生じるからなのです。
アンパッサンは、Pawnの移動先と異なるマスの敵Pawnを取ることができる、非常に特殊なルールです。そのため、ボード二面を使ってプレーするAlice Chessとの整合を検討しておく必要があります。
まず、アンパッサンの対象となるPawnは、どちらのボードにあるのでしょうか。このあつかいについても、議論がありましたが、en passantは、Pawnが仮に一マスしか進む能力がないという仮定において、その位置にあるPawnの捕獲と同じ手で、二マス進んだPawnを取る行為なので、捕獲するPawnと同じボードに移動してきているべきと考えるのが妥当です。
さて、その場合にも問題は残っています。アンパッサンをする前に、対象となる敵Pawnが二つのマスを進行する際、通過する一マス目に対応する別のボード上のマスに、駒があることが想定できます。(図を参照)
この問題を解決するために、多くの議論がされているようですが、以下の三つの選択肢のうち、どれかを採用することでルールの曖昧さを除去します。
勝利条件、引き分けの条件など、通常のChessと同じです。
通常は、Rook, Bishop, Queenなどの強力な動きをする駒が序盤はPawnによって、中盤以降も別の駒が間にあることで効きを遮られていますが、一手ごとにボード間を移動してしまうので、これら強力な駒の自由度が高くなります。
より強力に動く駒の働きと、はじめは不慣れなボードを間移動の把握により、 ゲームの決着はかなり早くつきます。積極的な攻撃の手を繰り出すのが効果的です。
ChessのVariantsであるAlice Chessに、いくつものVariantsがあります。